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ポーアイ4大学による連携事業

安全・安心・健康のための総合プログラムを軸として

ポートアイランド内に隣接する神戸学院大学、神戸女子大学、兵庫医療大学、神戸女子短期大学は、以前から図書館の相互利用などの連携を始めていたが、戦略的大学連携支援事業に選定されたことで、防災、医療など各大学の特色を活かした連携事業へと乗り出した。“互いに徒歩圏内”という地の利を活かした連携の模様を取材した。


隣接四大学の地の利を活かして

神戸三宮の南に位置する人工島「ポートアイランド(略称「ポーアイ」)」。この西地域に神戸学院大学、神戸女子大学、兵庫医療大学、神戸女子短期大学が隣接している。この四大学は、戦略的大学連携支援事業に選定される以前から、単位互換制度や図書館の相互利用、合同オープンキャンパスの開催など独自の連携を進めていた。文部科学省による連携事業の情報を入手したとき、「『地域型』はポーアイの連携モデルに最適だ」と、すぐに応募の検討を始めたという。ポーアイ4大学連携推進センター・コーディネーターの田中綾子氏は、そのいきさつをこう語る。

「四大学にはそれぞれ得意分野があります。神戸女子大学・女子短期大学は女性教育に重きを置き、子育て支援講座や高齢者向け講座などを開くなど、地域とのつながりが強い。兵庫医療大学は医療相談会などを通じ地域貢献をしています。

神戸学院大学は防災と社会貢献に関して専門教育をしていて、地域の小中学校への出前授業や市民救命士の講習などを行ってきました。この連携事業は、教育、研究、社会貢献が柱ですから、私たちならその三本柱を推進することができるのではないかということで申請に至ったようです」

検討の結果、従来から取り組んできた図書館連携などを横軸とし、縦軸として新たに「ポーアイ防災推進プロジェクト」と「ポーアイ健康推進プロジェクト」を立ち上げることにした。横軸は学生支援のための経営的連携、縦軸は教育・研究・社会貢献を中心とする連携で、各種講座の開催や地域社会との交流事業を行う。

「ポーアイ防災推進プロジェクト」には、神戸学院大学の防災教育が、「健康推進プロジェクト」には、兵庫医療大学と神戸女子大学・女子短期大学の強みが活かされている。連携事業の目玉としては、防災・健康分野を中心とした「ポーアイ教養科目」を開講する。

ポーアイ4大学の大きな特色は、地の利である。単位互換制度や共同課程の新設でハードルとなるのは、大学の立地条件だ。大学間の移動に時間や交通費がかかり過ぎては、学生にメリットがない。「ポーアイ教養科目」の開講は、この地の利を活かした試みとして期待が大きい。また、本連携事業は第三者評価制度を取り入れており、神戸市立医療センター中央市民病院長、神戸市水上消防署長、兵庫県神戸水上警察署長、神戸市中央区長、神戸商工会議所、株式会社学生情報センターなどが外部評価委員を務めている。

学生プロジェクトの支援も

2008年10月から始まったポーアイ4大学の連携事業は、今までの各大学の社会貢献活動をベースに、地域住民と密接につながっている様子がうかがえる。兵庫医療大学の医療相談会は毎回ほぼ満席。神戸女子大学の学生が主催する子育て支援講座「くじらくらぶ」も親子連れに好評で、クリスマス会などのイベントも喜ばれているという。

地域の消防団の中には、「学生消防団」もあり、消防団のメンバーとともに、みなと神戸花火大会やバレンタインラブランなどの市民マラソン、駅伝などで警備にあたる。この消防団の活動は大人気で、「ポーアイに住まないと学生消防団に入れないので、引っ越ししてくる学生もいる」(田中氏)。

今後は、学生中心のプロジェクトに力を入れていきたいという。学生から研究や地域活動の企画を募り、選定を通過したプロジェクトに、一件25万円を上限に活動費を支給する考えだ。大学の教員がアドバイザーとしてプロジェクトを支援し、連携推進センターのスタッフもサポートする。
この取り組みの準備として、「ポーアイセミナー」を開催。学生たちが活動を発表し合う場で、学生同士の連携を促すのが目的だ。

今年2月にはじめて開催したところ、連絡先を交換し合う学生が多数見られ、一カ月後にはプロジェクトに参加するメンバーが増えていたり、メンバーが別のプロジェクトにも参加していたりと、交流が進んでいたそうだ。このセミナーは、「ボランティアの成功・失敗談を発表し合う」といったテーマを織り交ぜながら、年間10回ほど開催していく予定だ。

「多くの方々との調整と交流が、連携事業の大変で面白いところ」だが、「学生の様子を見ていると、手ごたえを感じる」と語る田中氏。「教育・研究はもちろん、社会貢献の面でも先生方の協力が不可欠です。パンフレットの作成、経理上のルールや報告フォーマットの共通化といった作業に加え、講演会などの開催もあります。多忙な毎日ですが、各大学の学長先生も私たちスタッフも、この連携事業が大きく育つことを望んでいます」。

ポーアイ4大学は、防災・減災、ボランティアに関し、東北福祉大学、工学院大学、大妻女子大学とも連携協定を結んでおり、この七大学による連携事業も構想しているという。これからの展開が楽しみである。

田中綾子(たなか・あやこ)

1997年神戸学院大学人文学部卒。2005~08年、現代GPコーディネーターを務める。08年より戦略的大学連携支援事業コーディネーター。現在、神戸学院大学大学院修士課程在学中。

大学改革提言誌「Nasic Release」第19号
記事の内容は第19号(2009年6月1日発行)を抜粋したものです。
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