トップページ > ナジックリリース > 第14号 > 「チャレンジ精神」と「多様性」―松下電器産業が求める人材 (松下電器産業株式会社 国土真也)
「チャレンジ精神」と「多様性」―松下電器産業が求める人材
グループ採用センター 所長 国土真也
グローバル化に対応できる能力
――経済産業省は「社会人基礎力」の能力要素として「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を指摘しています。これらは松下電器が求める人材像に副ってますか?
国土所長(以下、敬称略) 松下電器は経営理念に、「世界文化の進展に寄与すること」を謳っています。その理念の下、「Panasonic ideas for life」というコンセプトを掲げ、全社員が人々の豊かな暮らしや社会の発展に、価値あるアイデアを提供する使命を自覚して活動しています。
そうした願いを実現してゆくための「意欲ある人材」としては、「社会人基礎力」に示す要素は望まれるところですね。松下電器ではそれを独自に、まずベースに「チャレンジ精神」があること、そして、それに付随して「顧客本位」「起業家意識」「自主自立」という三つの資質を具えることを求めています。
――「チャレンジ精神」とは具体的にどのようなものですか?
国土) 松下電器が置かれている環境と関係しています。昨今ではマーケットがボーダレス化し、海外市場がさらに拡大しつつあります。また、競合も日系企業だけではありません。さらに、ITの普及で情報入手が容易になる環境が作られてくると、「スピード」が重要なキーワードになってきます。
こうした環境の中では、フィールドにとらわれず未知の領域に自ら考えて踏み出してゆける人、しかも他の人よりも早く着手し成果を上げられる人材が要求されます。そうした行動を起こさせるベースが、「チャレンジ精神」です。
――「顧客本位」「起業家意識」「自主自立」とは、具体的にどのようなものですか?
国土) 「チャレンジ精神」がすべてのベースだとすれば、これら三つは「仕事を進めてゆく時」のベースになるものです。「顧客本位」は、相手の立場に立つというだけではなく、誠実で正直であるとともに、お客様に伝えねばならないことはきっちり伝えるという心得。それはお客様に対してだけではなく、社内の人に向けても必要な姿勢です。
「起業家意識」とは、単に業を立ち上げる気概を持てという精神論ではありません。実際に仕事に携わる時は、他のメンバーを巻き込み、「やりたいこと」を理解・共感してもらい、大きな成果に結びつけることが大切です。三つ目の「自主自立」は、自分で考えて行動する主体性や積極性のことであり、これはいつの時代にも求められる資質でしょう。
「優秀な人」よりも「成果を上げられる人」に
――そういった資質を、採用時にはどう評価されるのでしょうか。
国土) それらは、一般に「知識」や「スキル」、また「やる気」であったりするのですが、それをただ持っているだけではなくて、いかに活用し実際の行動に移しているかが大切です。
一つの例に「留学」がありますが、ただ異文化を肌で感じてきただけでは意味がない。留学先でどのように自分を変え、コミュニケーションをとり、苦労し、いかなるアクションを起こしてきたかによって、その体験は評価されるのです。
私たちは「学業成績が優秀であること」と「仕事で成果を上げられること」の間に、高い相関関係があるとは感じていません。学生には優等生であるよりも、「成果を上げられる人」を目指してほしいのです。
――そうした人材を、大学ではどのように育成すればよいのでしょう。
国土) 昔から大学は自ら学ぶところであるといわれています。講義というのは一般的に教える側から教わる側へと一方的であることが多いのですが、以前はそれを踏まえて自分なりにアクションを起こす学生が多かったように感じます。
しかし、最近の学生気質では、講義を聞いて知識を増やすだけという「受け身タイプ」が増えているのではないでしょうか。
そういう意味からは、自分で考えさせるような授業のあり方、例えば意見交換が双方向になるようなゼミ形式の授業や、自らの考えを発表する場のある授業を増やしていただくのも一つの方法かもしれません。
仕事を好きになる努力も必要
――経産省は人材確保や採用のミスマッチを防ぐため、企業側からの積極的な情報発信を望んでいます。
国土) 松下電器では以前からすでに学生にどのような人材を求めているのかを正しく発信する行動を起こしています。
その一つが「Road To Panasonic」と題した大規模なセミナーです。これは松下電器という会社で、どんな人が働いていて、どんな仕事があり、どんな魅力を感じられるのかということを分かっていただく場です。松下電器の若手社員100名が参加して、職種別にエリアを設け、学生に仕事内容を説明したり質問を受けたりするという双方向の取組みを行います。
もう一つは「松下電塾」という小規模のセミナーです。こちらは私たちが全国津々浦々にまで出かけ、会社の説明はもとより、例えば「社会人基礎力」の中の一つにある「コミュニケーション力」などをテーマにディスカスするセミナーです。さらにインターンシップ制度も導入し、毎年150名の学生を受け入れ、現場のプロジェクトチームに実際に加わってもらっています。
――採用段階から入社後の人材育成までの一貫性も大切ですね。
国土) 最近の学生の傾向として、自分で自分のキャリアを築いてゆく意識が、いい意味で強くなっています。しかし、それはともすれば、自分のやりたいことは積極的にやるが、嫌なことはやらないということにもなりかねない。しかし、会社に入ると、自分が好きではない仕事に携わらなければならないこともあります。
そんな時、端から拒絶するのではなく、ある意味で天命として与えられたものと思い、その仕事を好きになる努力をしてみることも大切だと考えています。
松下電器では、「チャレンジ」と「コミュニケーション」をキーワードに掲げ、パナソニックというフィールドの中で自分を実現してもらえるようにさまざまな選択肢を用意しています。
企業環境は今後、ますますグローバル化やボーダレス方向に進みますから、それに対応できる新たな能力――
「多様性(ダイバーシティー)」という価値観・行動力――が必要になります。企業内の人材が、能力、組織、国籍、文化等さまざまに多様化することによって、より望ましいフレキシブルなお客様への対応が生まれるとともに、世界のニーズに適った製品・活動を提供してゆくことが可能になり、正に社会に役立ち、社会から求められる企業風土が培われるのです。
記事の内容は第14号(2006年5月11日発行)を抜粋したものです。
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