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新しい学術都市の形成に向けて

生まれ変わるポートアイランド

人工島の街開きを華々しく飾ったポートピア博覧会(1981年)から四半世紀。3月に開港した神戸空港『マリンエア』のいわば門前町となるポートアイランド(神戸市中央区)が今、変わろうとしている。「未来都市」と呼ばれたポートアイランドも少子高齢化が進み、市立港島小学校の児童数はピーク時の91年には1781人いたが、現在は646人。

一方、65歳以上の高齢者の比率は、90年はポートアイランド住民の5%に過ぎなかったが、2005年末には20%近くにまで上昇している。
ポートアイランドの若返りと活性化は急務の課題であるが、政府も神戸市も手を拱いているわけではない。

政府は、都市再生緊急整備地域として「ポートアイランド西地域コンテナバース跡地再開発」に着手。神戸市も「神戸産業医療都市構想」を大々的に掲げ、ともにポートアイランドにスポットを当てているというわけだ。

神戸市の課題と展望

阪神・淡路大震災から十年以上が経過したが、神戸市の経済状況は依然として全盛期の水準には達しておらず、神戸経済の本格復興と活性化は市政の最重要課題の一つと捉えられている。

そうした中、今後の飛躍的な成長が期待されている医療関連産業の集積を図ることが不可欠であるという認識のもと進行しているのが「神戸産業医療都市構想」である。

この構想は、ポートアイランド第二期開発とも連携して、最先端の医療技術の研究開発の場が整備され、国内外の医療関連企業が集い、新しいビジネスが産み出される環境を作り、活気ある神戸経済に貢献することを目的としている。

また、最先端医療に関する研究開発を行うため、国内外の大学・研究機関や市内の病院・診療所と連携し、共同研究を進めることにより新しい医療サービスを普及させることも視野に入れている。将来的には、海外、特にアジア諸国の医療技術の向上に貢献できる拠点作りを目指しているという。

構想の中核機能は、先端医療センター、メディカルビジネスサポートセンター、トレーニングセンターが担う。中でも、先端医療センターでは、医療関連産業等の民間企業と、京阪神等の大学・研究機関の研究者が、実際の医療の現場(神戸市立中央市民病院等)と協力しながら研究開発を進めることで、質とスピードの向上が期待されている。

新しい学生街へ

さらにポートアイランドは学生街への「リフォーム」も進めている。神戸産業医療都市構想、併せて「神戸際都キャンパス構想」とも関連する形で、三校が進出する予定で、すでに一部は着工している。進出するのは神戸学院大の一部と、新設される兵庫医療大、神戸夙川学院大の三校。既設の神戸女子短大の敷地にも、系列の神戸女子大が四年制の健康福祉学部を開設する。

兵庫医療大は、学校法人兵庫医科大学が設置し、薬、看護、リハビリテーションの三学部をつくる。神戸夙川学院大は、西宮市に短大、中高などがある学校法人夙川学院が開設。福祉・医療系の資格も取得できる新しい形態の観光分野の単科大となる。

兵庫医科大と夙川学院は共同で約75,600平方メートルを約66億円で購入。校舎は別々に建てるが、食堂などの厚生施設の共同利用を計画している。両大学とも文部科学省に設置認可の申請中である。

なお、神戸学院大の北側には、学生たちの実習の場にもなる介護施設を備えた分譲住宅約190戸、学生や教職員向けの賃貸住宅約550戸も建設され、「職住近接」の新たな街が生まれることになる。今号では学校法人兵庫医療大学の新家荘平理事長と、神戸夙川学院大学の学長予定者・吉岡濟氏に話を伺った。

チーム医療・先端医療を実現する~兵庫医療大学~
兵庫医科大とのシナジー効果

兵庫医療大学
新家 荘平 理事長

――― 平成十九年四月に兵庫医療大学(仮称)を開設される予定です。
新家理事長(以下、敬称略) 神戸産業医療都市構想に連携しつつ、三学部構成(薬学部、看護学部、リハビリテーション学部)で開設します。

教育や運営に関しては、医師養成や地域医療に多くの実績を持つ兵庫医科大学が全面的にバックアップしてゆきます。

――― 兵庫医科大のリソースをもってすれば、学部の増設でもよかったと思うのですが、なぜ、大学に厳しいこの時期に、新大学なのですか?

新家) 確かに、学校法人にとっては厳しい時代だと言われていますが、そうであればこそ、増設ではなく、大学自体の新設に意味があると考えました。改組・再編、増設という発想では、さまざまな制約や配慮すべき事項などに、どうしても囚われがちになります。

しかし、人への奉仕・愛・科学的理解という本学園の建学の精神に照らし合わせてみれば、われわれに躊躇する理由はありません。兵庫医科大学との「シナジー効果」を発揮し、教育、医療の総合事業体として、よりダイナミックに教育、研究、診療を展開することが、何よりも求められているのです。

全人的・社会密着型医療を目指す

――― どのような大学づくりを?
新家) 現在、医療の多くの分野が高度に専門化し、職種も多様化する中で、患者の心や社会的背景を大事にした「全人的医療」や「社会密着型医療」が求められています。

新大学では兵庫医科大の西宮、篠山キャンパスとの緊密な連携のもと、三学部と医学部をボーダレスにすることで、「チーム医療」の確立と向上、そしてチーム医療による社会への貢献を目指してゆきます。チーム医療を柱とする全人医療の確立は、本学園創設者・森村茂樹先生の切なる願いでもあるのです。

――― ポートアイランドが医療を軸とした新しい学術都市として再生することが期待されます。
新家) 新大学は神戸市立中央市民病院に隣接しますし、兵庫医科大学には附属病院もあります。

両機関ともに連携を図ることで、基礎と臨床を体系的に学ぶには最高の教育・研究環境となるはずです。また、産業医療都市構想の中核を担う先端医療センターや兵庫医科大学の先端医学研究所と協同することで、わが国、いや、全世界の最先端医療研究を実現させることも、そう難しいことではないでしょう。

兵庫医療大学は、兵庫医科大学と緊密に連携し、自身の専門性を高めることはもちろん、兵庫医科大学医学部との交流や他学部との合同授業などを通じて他の分野についても理解を深め、チーム医療の一員としての行動力やコミュニケーション能力を身につけた人材を世に送り出すことが使命だと考えています。

ひとえに医療は「人」、大学も「人」だと私は考えています。良い教員、良い学生が集い、「こころが通う医療」を実践できる、人間性や倫理性の豊かな医療人を涵養する場であり続けることが、兵庫医科大学と兵庫医療大学、そして、私の強い願いなのです。

大学改革提言誌「Nasic Release」第14号
記事の内容は第14号(2006年5月11日発行)を抜粋したものです。
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