トップページ > ナジックリリース > 第12号 > 同窓会の一体化で教育理念の強化を目指す (玉川学園・玉川大学 同窓会事務部長代理 宮川 正氏)
同窓会の一体化で教育理念の強化を目指す
~同窓会は学校法人の貴重な財産~
「同窓会は大切だ」「卒業生とのつながりを保ち続けたい」……
そう言うのは簡単だ。しかし、実際、どれだけ実現できているだろうか。
「全人教育」を建学の理念に置く玉川学園での同窓会活動に、本来の学校教育のあるべき姿を見る。
玉川学園同窓会事務局長
宮川 正氏
教育現場の「今」 そして「本来あるべき姿」とは
フリーターやニートの激増、幼児・老人虐待、凶悪犯罪の低年齢化や相次ぐ集団自殺……。一昔前では考えられなかったことが、近年では当たり前のように毎日世間を騒がせている。
現代は核家族化、またテレビゲームやインターネット等の普及に伴い、人間関係が希薄になり、社会に適応しにくい成育環境となっている。
昨今の学校教育の現場においても、学力レベル強化の追求のみを重視し、「人間形成」や「人的な交流」という点は軽視される傾向にある。これが前述のような社会問題を引き起こす一つの要因となっているのではないか。
そのような中、他校に抜きん出て充実した全人教育に取り組む学校法人がある。
玉川学園(東京都町田市)は幼稚部から大学院まで約10000人が広大なキャンパスに集う総合学園として、幅広く教育活動を展開している。
同学園は人間形成において真・善・美・聖・健・富の6つの価値を調和的に創造することを教育の理想とし、教師・学生、また先輩・後輩の関係においても「師弟同行」の考えのもと、人間的な触れ合いを通して学生が主体的に行動する力を養成している。
従来基本とされてきたあるべき教育の姿を目指す玉川学園では在学生のみならず、卒業生との交流にも力を入れ、同窓会活動にも非常に力を注いでいるという。
同窓会の意義とは
玉川学園同窓会は1952年に会員2139名でスタート。現在は会員数が83000名を超え、同窓会の支部は国内で66、海外に3つにまで拡大している。クラス会や同期会、ゼミ研、課外活動のOB会等が頻繁に開かれ、同窓生の年齢や職業を超えた交流が盛んに行われている。
同窓会発足50周年記念にあたる一昨年、学校は同窓会の運営・活動により力を入れるため学内組織に「同窓会事務部」を設置、業務の一体化を取り入れた。
「業務一体化は『同窓生は学校の財産』であり『卒業したから任務は終了』ではなく『いつでもこの玉川の丘に帰ってきてください』という温かく見守る存在でありたいという学校の考えのもとに行われたものです。
また、同窓会事務部では、同窓生の学校に対する帰属意識の向上に努めていくことに業務として大きな比重を占めています。
一方、同窓会正会員から2年で5000円の会費を集めていますから、スタッフには『同窓生はお客様』との意識で業務に取り組むよう指導し、会員へのサービス(顧客満足)の充実を図っています。4月からは学内施設の同窓生利用も可能になりました」
こう語るのは玉川学園同窓会事務局の宮川正事務局長である。
同事務局では同窓生間のみにとどまらず、在学生との交流にも力を入れている。
昨年からは、毎年開かれる同窓会イベントである「ホームカミングデイ」と大学主催の「コスモス祭(文化祭)」の同時開催イベントを始めた。
また企業経営者や著名人等、各界で活躍する同窓生が積極的に在学生に講義を行うなど、精力的に活動を展開。同窓会と学校が一体化したからこそ成し得ることであろう。
同じ学びの場で得た「共通意識の集い」という安心感から学園が彼ら自身の拠り所となっているのではないかと感じられる。
「玉川同窓.net」の立ち上げで より確実なパイプを築く
宮川事務局長は昨年10月、情報提供の一環として、株式会社ナジック教育ソリューションの協力のもと、インターネットサイト「玉川同窓.net」を立ち上げた。
このサイトへはパソコン、携帯電話からアクセスでき、同窓生が運営する全国各地の飲食店・旅館・アミューズメント施設の情報や同窓生が経営する企業の求人情報等を提供。会員には割引や各種サービス等、特典を設けている。
「このサイトは各都道府県の支部、そして同窓会員の個人・企業の活性化、またそれを利用できる会員の優位性を図るのが主な目的です。同窓会運営に大きな役割を果たすとともに、他大学のネットワークへの拡大等、さらなる発展を目指せる可能性を秘めています。
また、在学生が、同窓会への関心をより深めていくことにも繋げたい。同窓生自身にも大変意義あるものになるでしょう」と宮川事務局長は言う。
情報やサービス提供者にサイト本来の目的を理解してもらうこと、また個人情報保護法の施行に伴う会員の情報管理も、学校と同時進行で個人情報ガイドラインを作成、全会員に広報を行った。
このサイトが同窓生間、そして在学生とのさらなる交流の橋渡しとなり、玉川の建学の精神に則った「人と人との繋がり」の確実なパイプとなるのは言うまでもない。
玉川学園の教育理念からは、祖父母や親戚、地域の人々との親密な交流の中で倫理規範やモラルを学んでいた古きよき時代の教育が思い起こされる。
企業においても、社会集団における人間関係を通じて、社会の一員として生きるための知識や技術・モラル等、人間的な魅力を持つ調和のとれた人材が求められる。
玉川学園の取組みの中に、一つの答えがありそうだ。
記事の内容は第12号(2005年5月15日発行)を抜粋したものです。
- 評価文化が大学改革を動かす (独立行政法人 大学評価・学位授与機構 川口昭彦)
- 実績に裏打ちされた客観性で質的向上に貢献する (財団法人大学基準協会 澤田 進)
- ミッションを重視した評価で個性を引き出す 財団法人日本高等教育評価機構 原野幸康 伊藤敏弘
- 競争力の高さが信用獲得のカギに (スタンダード・アンド・プアーズ 吉村真木子)
- 格付けが対話力を上げる (株式会社 日本格付研究所 殿村成信・吉田法男)
- 大学はガバナンスの整備を急げ! (オリックス株式会社 会長兼グループCEO 宮内義彦)
- 多様な価値観が豊かな人間性を育む (神戸大学 学長 野上智行)
- 「新しい産学連携教育の形」を目指すキャリア開発プログラム (亜細亜大学アジア夢カレッジ推進室部長 加藤伸吾)
- 同窓会の一体化で教育理念の強化を目指す (玉川学園・玉川大学 同窓会事務部長代理 宮川 正氏)
- 学生と教員、双方のニーズに応えるキャリア支援 (麻布大学学生部就職課課長 高橋 徹氏)
- 大学スポーツでコミュニケーション能力を獲得 (明治大学硬式野球部監督 川口啓太)
- 学校法人と個人情報保護法 ~個人情報保護で学校法人の「品位」を保つ (株式会社イーエムエスジャパン 深田博史)
- “一人ひとりを大切に”真の学生満足を (学校法人麻生塾 専務理事 古野金廣)