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“一人ひとりを大切に”真の学生満足を

学校法人麻生塾 専務理事 古野金廣
〈聞き手〉学生情報センター専務取締役 西尾 謙


学生の夢を形にする徹底した仕組みづくり
多分野の専門学校を有し、毎年、高就職率を誇る麻生塾。
学生満足を第一義に置きながら、「本校の顧客は企業である」と明言する古野専務理事に、その真意をうかがった。

付加価値創造の義務

――ITビジネスや工科デザイン、医療福祉など多岐にわたるジャンルを網羅し、福岡市を中心に全11校を運営されています。専門学校の置かれている現状をどう捉えておられますか?

古野専務理事(以下敬称略)) 麻生塾の前身は、昭和14年の石炭産業が華やかなりし時代、地元の青少年に進学の途を開き、中堅産業人の育成に取り組んできた私塾です。時代の流れとともに学校の規模や体制には様々な変遷がありましたが、職業教育を徹底し、地域産業への貢献を果たすという理念は今も変わりません。

年々、学校法人をとりまく環境は厳しさを増しています。そうした中で専門学校が存在意義を保つためには、いかにプライオリティを明確にし、実践していくかがカギになってくると思います。

本校の場合、最優先するべき方針は「就職」です。長年にわたって、学生の就職がすべてに優先するという考え方を教職員全員に周知徹底してきました。

――事実、毎年100%に近い就職率を達成されていますが、学校が施すべき教育についてはどうお考えですか?
古野) 何より大切なのは、学生が夢を実現できるよう道筋を整えてあげることだと思います。学生にとって、学校はまさに夢を叶える場所であり、同時に、そのための教育サービスを受けられる場所であるべきなのです。

では、教育サービスに求められる要素は何かというと、ソフト面では学生と教師が深く良好な関係を保ち、学生のモチベーションを維持すること。ハード面では、出口対策の意味も含まれますが、一般企業を初め社会との交流を積極的に行い、太いパイプを持つこと。この両面を充実することが、教育サービスの質を高めることにつながるのではないでしょうか。

要は、入学から卒業までの間、いかに学生の付加価値を高め、確実に社会に送り出すことができるかにかかっているのです。

最近は、様々な意味で学生のレベル低下が言われますが、それを嘆くだけでは、学校側が仕事としての課題から逃げていることになりましょう。たとえ学生のレベルが落ちようと、その資質をいかにのばすことができるか、学校は常に、有効な施策を講じていかなければならないのです。

企業満足=学生満足

――志願者確保のため、対大学としての戦略をお持ちですか?
古野) 麻生塾では、特に大学への対抗策を打ち出しているわけではありません。確かに、われわれが網羅する学科は大学と競合するジャンルが多く、同じ土俵で学生を確保しなければならない状況にあります。ただ、専門学校には専門学校にしかできない教育があると自負しています。

ちなみに本校のビジョンは、学校の方針としてはピンとこないかもしれませんが、蕫質の高い教育サービスにより、学生の付加価値を高め、お客様である企業の求める人材を育成し、社会に貢献します﨟というもの。

つまり、麻生塾の顧客の定義は「学生」でなく「企業」なのです。

企業を顧客と置くと、①企業のニーズを的確に汲みとる、②これをカリキュラムに反映させる、③企業の求める人材を輩出する、④学生・企業両者の満足と信頼を得るという図式が成り立ちます。そういう意味では、対大学の視点で考えるよりも、いかに企業と密接な関係を築き上げるかという課題のほうが重要になってきます。

――学生の付加価値を高めるための最適な教育サービスを実践するということですね。ガバナンスについては、特にどのような方策をお持ちですか?
古野) 一般企業であれ学校法人であれ、組織が発展していくためには全員が事業方針を把握し、それを維持・向上させていく仕組みづくりが不可欠です。

本学でも、ISO9001を取得するにあたり、ガバナンス体制を集中的に強化しました。経営陣と職員間で意思伝達とフィードバックが迅速に行えるようラインを整えることはもちろん、更なるレベルアップを図るために、ナレッジマネジメントの強化やベストプラクティス経営に取り組んでいます。

これらは一般企業ではすでに馴染みのある取組みだと思いますが、学校法人で実践されているところは少ないのではないでしょうか? 

今後、特にガバナンスに関しては、学内に限らず他校や企業からも優れたプロセスを取り入れ、学ぶ姿勢が必要になってくると思います。

募集力・教育力・就職力の三本柱

――今後のビジョンをお聞かせください。
古野) ここ10年ぐらいで顕著に感じるのが、専門学校を第1志望に据える高校生が増えているということです。かつて、専門学校の入学者といえば半数近くが大学に不合格になった学生でしたが、その状況が変わりつつあると感じます。

今の高校生は、どこの学校で学べば自分の付加価値を最大限上げることができるか、非常にシビアに見ているのです。

少し前までは、大学全入時代の到来で短大、専門学校はいずれなくなるとの声も聞かれました。

しかし、いざ蓋を開けてみれば、優れた教育サービスを行う学校が必然的に勝つ状況にある。どの学校にも言えることですが、今後は募集力・教育力・就職力すべての力をつけなければ、学校として存続できない時代が来ます。

本校においても、「麻生だったら自分の夢が実現できる」という学生の期待に応えながら、高校生だけでなく社会人にも積極的にアピールしていくつもりです。併せて、社会のニーズを的確に掴み、チャンスがあれば、未開拓のジャンルへも展開していきたいと考えています。

大学改革提言誌「Nasic Release」第12号
記事の内容は第12号(2005年5月15日発行)を抜粋したものです。
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