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大学スポーツでコミュニケーション能力を獲得

~meijiコミュニティ・スポーツ・クラブの可能性~
体育会は根性や気合いだけではない。高い技術とセンスを磨く「選手育成」
の場であると同時に、“交流”を軸に社会貢献、地域との連携を図る場である。
そんな先進的な構想の下、本格的な活動を始めようとしているのが、meijiコミュニティ・スポーツ・クラブである。

明治大学硬式野球部監督
川口啓太氏

大学と地方自治体の連携

2004年、明治大学と東京都調布市は、相互友好協力協定を締結した。
調布市には、明治大学硬式野球部の球場と寮があり、同部は1998年から同球場で中学生を対象とした野球大会や教室を開催してきた。また、卓球部と硬式庭球部の寄宿舎も調布市に建設された。

この協定は、スポーツ関係に留まらない包括協定について調布市から提案されたもので、文化、教育、学術、スポーツ分野で援助、協力し相互発展を図ることを目的としている。
大学と地方自治体が正式に協定を締結するケースは、全国でも極めて稀だ。

時代に向かって 積極的に取り組む

明治期以降近年まで、大学は「研究」と「教育」の場だった。しかし、この2本柱ではもはや立ち行かなくなってきていることは周知の事実である。

では、第3の柱とは何か? それは、社会貢献・地域との連携であり、それを可能にするのが大学スポーツだと強調するのは、明治大学硬式野球部監督の川口啓太氏である。

「社会貢献、地域との連携に、スポーツの特性である『交流』をうまく生かせないものか。さらに、これまでスポーツは時代に育てられてきた面があるが、これからは、スポーツが時代に向かって積極的に取り組んでいくべきだろう。こんなところからmeijiコミュニティ・スポーツ・クラブを構想したのです」(川口氏)

meijiコミュニティ・スポーツ・クラブは明治大学が核となり、自治体や企業との連携を通じて、スポーツ文化の発展に貢献することを目的としている。先の調布市との協定締結も、この構想に大きく寄与している。川口氏は続ける。

「今までのスポーツは、どちらかというと選手育成型。もちろんそれも大切ですが、それに加えて生涯スポーツ。つまり、お年寄りから子供まで、スポーツで交流しながら、地域に根付いていく。そして、そこから幸福感を得る。やはりそういう底辺があって、トップ選手の育成があると思うのです」

こうした構想の下、明治大学野球部は既に、調布市やナジック教育ソリューションから支援を受けて市内の8つの中学校を対象に、野球大会・野球教室を開催している。

昨年は、高田繁氏、鹿取義隆氏、広沢克己氏(いずれも明大OB)が応援に駆けつけ、監督、コーチ、そして子供たちに熱心に指導を行ったそうだ。プロを数多く輩出している同大ならではの取組みといえるだろう。

新しいインターンシップ

meijiコミュニティ・スポーツ・クラブでは現在のところ、調布市内に寮・グラウンドを構える硬式庭球部、硬式野球部、卓球部の3部で、施設の開放や野球部のようなスポーツ教室の開催など、スポーツを通して交流を図る場を提供していくことを当面の構想としている。

そこからさらに発展させ、meijiコミュニティ・スポーツ・クラブを軸にしたインターンシップ、体験学習ができないかと川口氏は考えている。

「地域の中学校のクラブは、どこも指導者不足。要請があれば、たとえば明治大学から学生をコーチとして派遣することも不可能ではありません。それが中学校のためになるのはもちろんのこと、スポーツ指導者を目指す学生にとっては、インターンシップの場にもなるわけです」

さらに川口氏は、meijiコミュニティ・スポーツ・クラブの抱負を次のように語る。

「meijiコミュニティ・スポーツ・クラブの中で、クラブ員も子供たちも、交流を通じてコミュニケーション能力が身につけられる。そんなイメージを持っています。

現在でも、組織や事業体の中で、スポーツ経験者が『繋ぎ役』や『潤滑油』となって職場を明るくしているということはよく耳にします。企業との連携も模索していかなければなりませんが、大学、企業、双方にメリットをもたらすクラブづくりができればと思っています」

早稲田大学や東海大学、立命館大学でも大学スポーツの新しい試みは始まっている。
その形態は一様ではないが、それらをつくり上げていくプロセス自体も、大学にとっては大いに価値のあるものではないだろうか。

大学改革提言誌「Nasic Release」第12号
記事の内容は第12号(2005年5月15日発行)を抜粋したものです。
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