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大学進学者の住まい探しと高等学校の責務
親元を離れて勉学に励もうとする生徒たち
――住まい探しから防犯、金銭問題、ひとり暮らしのノウハウなど、高校生や保護者たちは不安でいっぱいだ。
大学進学にふさわしい学力を身につけさせる一方、人格教育にも注力することが高等学校の責務であることに変わりはない。しかし、それらに加えて、ひとり暮らしをしようとする生徒たちへの、住まいのサポート
――「安心・安全」をサポートする新たなサービスがいま、高等学校にも求められているのである。
文責:ナジック総合研究所
十八歳人口の都市部への流出
2004年度の高等学校卒業者に占める大学等進学率は45.3パーセントと0.7ポイント上昇し、過去最高となった。しかし、進学者数は562,000人で前年より12,000人減少している(2004年度学校基本調査速報による)。大学全入と少子化のダブルバインドが、端的に数字に表れているというわけだ。
近年、工場等制限法の撤廃などにより、大都市部にキャンパスを移転する大学が相次いでいるが、こうした傾向がさらに進めば、受験生の都市部への集中がさらに進むことになるだろう。
情報や知識などの文化的側面、教育・アメニティ施設の充実度などを鑑みれば、若者たちが都市部のそれらに魅了されることは無理のない話であり、地元を巣立とうとする若者の「志」を一概に否定するわけにもゆかない。
「魅力ある地元」を認識させるには、各都道府県内の大学教育を充実させるとともに、産業界においても、キラリと光る「強み」を、それぞれが持たなければならない。
若年層の都市部への集中は、教育だけの問題ではない。特に地場産業の活性化という観点に立てば事態はいっそう深刻である。各自治体の地元活性化への努力、また、教育界と産業界の戦略的連携などによって、若年層の流出と流入のバランスが取れること。そして大学卒業後に地元で就職する「Uターン」組が、今以上に増加してゆくことなどを期待したい。
巣立つ若者を取り巻く不安
さて、親元を巣立つ決心をした若者にとって、最初に直面するのが「住まいの問題」である。「都市部は賃料がとても高いのでは?」「悪徳業者などの詐欺にあったらどうしよう?」「物騒な都会で安全に暮らせるのだろうか?」など、本人だけでなく保護者にとっても、不安が募ることばかりである。
また、初めての地に赴いて不動産業者から物件の紹介を受けても、判断基準がないために不当な条件のまま入居契約をしてしまうといったケースも多数見受けられる。
もちろん、入居を検討する側が充分に下調べし、豊富な予備知識を持っておくことや、入居条件を明確にしておくこと。また、いくつかの不動産業者に出向き、複数の物件を検討することなどで、かなりのトラブルは防げるものである。
しかし、それでもなお防ぎ切れないトラブルケースがあることも事実。そうであれば、いわゆる「自己責任」だけに委ねてしまうのではなく、送り出す側=高等学校が住まいを斡旋し「安心・安全」を担保することで、若者の新生活へスタートをサポートする――こんな「サービス」も、今後の高等学校には必要になってくるのではないだろうか。
斐太高等学校の取組み
昨年11月17日、斐太高等学校(岐阜県高山市)において、株式会社学生情報センター協賛による「下宿相談会」が開かれた。同校はテレビドラマ『白線流し』の舞台となった学校であり、県下でも有数の進学率を誇っている。
しかし、同校も岐阜県内の高等学校の例に漏れず、地元を巣立ってゆく生徒が多数おり、そうした県外進学者から、住まいの斡旋を求める声が高まっていたのである。
相談会当日は多数の生徒と保護者が相談会に参加。関係者による「ひとり暮らしへの心構え」や「ノウハウ」、「安心できる物件選びのポイント」などの説明に、熱心に耳を傾けていた。
斐太高等学校関係者は「こうした試みが、ここ高山で行われるのは初めてのこと。今後も、定期的に相談会を開催し、生徒たちの巣立ちをサポートしてゆきたい」と語った。
学業とスポーツ、そして人格的な教育に励んできた高等学校。今後はその「出口」において、新生活の「安心・安全」を提供する――こうしたことも、「選ばれる学校」であるための、一つの条件となってゆくことだろう。
記事の内容は第11号(2005年1月1日発行)を抜粋したものです。